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【特集】神長官守矢史料館で諏訪大社の奇祭に迫る!

YOUTUBE動画の「諏訪大社 四社巡り 日本最古級の神社を一日で回る 前宮の奇祭の謎とは!? 」で取り上げた、長野県茅野市にある「神長官守矢史料館」の訪問記です。

神長官守矢史料館は、ブログでの写真の紹介は許可されていますが、その他SNSでの動画掲載は禁止されていて、受付でその旨を確認したため、動画内での紹介はせず、こちらで掲載するものです。
それまでの流れ等を確認される方は、こちらの動画から↓↓↓

さて、まずこの諏訪大社 四社巡りの動画で、なぜここに来たかと言うことです。

動画を撮るにあたって、撮影前に諏訪大社のことをいろいろと調べました。その際上社前宮でひときわ大きく、しかも壁が一切無い「十間廊」が気になりました。

諏訪大神が初めて出現したという「神原」から、その住まいとしていた本殿に向かう途中の左側に、一際大きく存在感のある建物ですが、その説明を見ると

神社でも最大の神事である三月酉の日の神事御頭祭(大立増神事、酉の祭り)がここで行われました。当日は大祝以下の全神職が総出で奉仕し、鹿の頭七十五頭をはじめ、鳥獣魚類等独特のお供え物をし、大祝のお使い(神使)神霊を奉じて、信濃国中に出発する為の大祭でした。(諏訪大社サイト より)

「鹿の頭七十五頭」

「鹿の頭七十五頭」

「鹿の頭七十五頭」

まったく想定外で想像外の「お供え物」、それも鹿の頭を七十五頭分!それに加え「鳥獣魚類等独特のお供え物」の「独特」ってなんですか・・・

怖いもの見たさも手伝い、さらに調べていくと、さすがに現在は行っていないようですが、明治時代までは行われていた儀式のようで、それを再現しているところが近くにあるということで、行って来ました。

諏訪大社 上社前宮から本宮方面へ車で2分(700m)のところにあるのが、「神長官守矢史料館」です。ここは、代々神長官(じんちょうかん)を務めた守矢家の史料館です。では神長官とはどんな職務なんでしょうか。

神長官(じんちょうがん)
諏訪神社上社の五官のうちの筆頭で、古来、ただひたすらに奉仕する人として茅野市高部の守矢氏に伝わる最高の祠官です。(諏訪市博物館サイトより)

その神長官の史料館に、早速入ってみたいと思います。

神長官守矢史料館
〒391-0013 長野県茅野市宮川389-1 Googleマップ 0263-73-7567
開館時間:9:00~16:30 休館日:毎週月曜 及び年末年始(12/29~1/3)
入館料:個人 大人100円、高校生70円、小中学生50円(団体は別途)

まず前段として「守矢家」って?の疑問ですが、史料館に入った一番最初に記載されています。今回はこの内容が主題ではないので、ここに記載されていることを前提として進んでもらえればと思います。

守矢家について
今から千五・六百年の昔、大和朝廷の力が諏訪の地におよぶ以前からいた土着部族の族長で洩矢神と呼ばれ、現在の守屋山を神の山としていた。
しかし出雲より進行した建御名方命(たけみなかたのかみ)に天竜川の戦に破れ、建御名方命を諏訪明神として祭り、自らは筆頭神宮つまり神長(宮)となった。
中央勢力に破れたものの祭祀の実験を握り、守屋山に座します神の声を聴いたり、山から神を降ろしたりする力は守矢氏のみが明治維新の時まで持ち続けた。
この史料館はそうした守矢家が伝えてきた古文書などの歴史資料を、七十八代守矢早苗氏より茅野市が寄託を受け、地域の文化発展に資するため建設された。(神長官守矢史料館掲示物より)

話を御頭祭に戻します。御頭祭は、鎌倉時代から続く諏訪大社の最も古い神事のひとつと言われ、五穀豊穣や狩猟への願いと感謝を込めて行われる神事で、上社の年中行事の中で最も重要とされている神事です。

現在は御頭祭(酉の祭)として毎年4月15日に、神職の代役である神輿を本宮から前宮の十間廊に運び、安置されてそこに御頭祭のシンボル的な鹿の頭(剥製)が三頭供えられます。

古代の神事は、狩猟で捕獲した鳥獣を神前に贄・供物として神を祀りました。その後仏教伝来によって慈悲的思想と相いれなくなり、廃れていったそうです。諏訪大社では中世以降も頑なにこの祭祀を続け、明治時代まで続いていたとの事です。

神長官守矢史料館に入ってすぐの展示室には、常設展示として御頭祭での供物を剥製などで再現しています。
これらは江戸時代の天明四年(1784年)に旅行家・本草学者の菅江真澄(1754~1829)が著書「ふてのまゝ」の中の断篇「洲輪の海(スワノウミ)」に記録した御頭祭のスケッチを元に再現しています。

これらによると、鹿の頭七十五頭をはじめ、白鷺、白兎、雉子、鳥(山鳥を除く)、鯉、鰤、鮒などの肉、米、海老、魚などを贄として捧げられ、また御贄柱という2メートル以上の柱が添えられていて、ここにはかつて人間の子供も縛り付けられ、生贄として差し出されていたとの話もありました。

ただ、熊・猿・山鳥・かもしか・岩魚の5種の動物は神聖なものとして贄にしてはいけないとされ、鹿・猪・雀などは田畑を荒らす駆除対象だったのではないかとの話もあります。

供えられた鹿の頭の中には、右下に少し見えるもののように耳が裂けたものがありました。これは「神の鉾に掛かった」とも言いますが、諏訪大社上社の七不思議のひとつに数えられています。

またここの展示では鹿と猪が混ざっていますが、七十五頭に足りない分は、猪で賄われたそうです。(毎回本当に七十五頭を捧げたのではないとの説もありました)

鹿の頭以外に捧げられたもののうち、右から兎の串刺(左右には焼き皮と荒布昆布)、猪の頭皮と鹿の焼き皮、三方には脳和(鹿の肉と脳味噌の和えもの)、生鹿と生兎(肉を煮て味付けたもの)がありました。これらがこの記事冒頭に出てきた「鳥獣魚類等独特のお供え物」でした。

なかなかショッキングな展示と感じるかもしれませんが、海から遠く山中で湖もあり、耕作可能地が少ない諏訪地域で、古くからあった狩猟と肉食を守り、その自然を畏れながら恵みに感謝する儀式であったのだろうと感じました。

主な参考サイト

信濃國一之宮 諏訪大社
 https://suwataisha.or.jp/
諏訪大社御頭祭について…レファレンス協同データベース
 https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000213313
御頭祭体験記①②|長野県魅力発信ブログ
 https://blog.nagano-ken.jp/gibier/report/302.html
諏訪大社と諏訪神社《from八ヶ岳原人版》
 http://www.yatsu-genjin.jp/suwataisya/
諏訪大社に隠された秘密。日本最古の神社には●●が祀られている…縄文時代から伝える伝承とは!?
 https://youtu.be/HbI9muNB_W8?si=JiO8VSppFmYilWk4

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